多くの企業が3〜5年の中期経営計画を策定しています。しかし、計画を作った翌年には「あの計画、どうなったっけ」という状態になっていることが少なくありません。計画が機能しない理由は、計画の内容よりも、策定のプロセスと運用の設計に問題があることがほとんどです。
現場が関与していない計画は実行されない ¶
経営企画部門や経営陣だけで策定した計画は、現場の担当者にとって「上から降ってきたもの」になります。実行するのは現場の人間なので、策定の段階から現場の管理職を巻き込むことが重要です。「自分たちが作った計画」という感覚が、実行の原動力になります。
KPIが多すぎる、または測定できない ¶
中期経営計画のKPIが10個以上あるケースをよく見ます。KPIが多すぎると、何を優先すべきかが不明確になり、結果として何も追われなくなります。KPIは3〜5個に絞り、月次で確認できる形式にすることが基本です。また、「顧客満足度の向上」のような定性的な目標は、測定方法を明確にしないと進捗が確認できません。
計画と予算が連動していない ¶
中期経営計画で「新規事業に注力する」と書いてあっても、年度予算に新規事業の予算が組まれていなければ、計画は絵に描いた餅です。計画と予算の連動は当たり前のように聞こえますが、策定部門と予算管理部門が別々に動いている企業では、この連動が取れていないことがあります。
進捗確認の仕組みがない ¶
計画を策定した後、四半期ごとに進捗を確認する会議が設定されていない企業が多いです。進捗確認は「計画通りか否か」を確認するだけでなく、「なぜ計画通りでないか」を分析し、計画を修正する機会でもあります。この仕組みがないと、計画は最初の1年で形骸化します。
外部環境の変化に対応できない硬直した計画 ¶
3〜5年の計画を作った時点の前提が、1年後には大きく変わっていることがあります。計画は「変えてはいけないもの」ではなく、「定期的に見直すもの」として設計することが重要です。年次レビューで計画の前提を確認し、必要に応じて修正する柔軟性を持たせることで、計画の実効性が維持されます。
中期経営計画は策定することが目的ではありません。実行し、成果を出すための道具です。その道具が機能しているかを定期的に確認することが、経営者の重要な仕事の一つです。